河合雅司著『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること 』感想メモ

原著

「2027年に輸血血液が不足」

輸血血液の需要と供給の現状

 令和3年の日本赤十字社の調査では、年間499万人からの輸血が必要らしい。

1日約3,000人、1年間で約120万人の方が輸血を受けています。それを支えているのが、1日約14,000人、1年間で約500万人の方の献血です。しかし、献血にご協力くださる方は年々減少しています。特に10代・20代で減少しており10年前と比べ約38%減少しています。

 令和5年では献血社数が505万人なので、今のところはうまく行っているように見えるが、必要分を集めるのには苦労しているらしい。

 

 50才以上の献血者数が多く、50歳以下の献血者が減っているから、若くて新鮮な血が集まりにくくなっている模様。

 献血への意識が以前と変わっておらず、人口構造が少子高齢化になれば当然こうなるか。

 なお、血液は長期保存できないので、毎年継続的に確保しなければならない模様。

血液には生きている細胞が入っているので長期保存ができません。「赤血球」は採血後28日間、「血小板」は採血後4日間、「血漿」は凍らせて採血後1年間です。そのため、絶えず多くの方の献血協力が欠かせないのです。

2027年から輸血用血液が不足する見通し

平成26年12月に日本赤十字社が行った血液需給将来シミュレーションにおいて、平成25年の献血率(献血可能人口の献血率6.0%)のまま少子高齢化が進展すると、必要献血者数がピークを迎える平成39年(2027年)には約85万人の献血者が不足することが示されました。

 

 2027年には輸血用血液が確保できないため、怪我や病気になって病院に行ったとしても、輸血が必要な治療ができない可能性が出てくる。

 

 当然、2027年までに人口の構造は変わらないし、日本人の献血への意識も変わらないだろう。

 そもそも、経済的にも高齢者のために重い負担をしている若年層から、金やチャンスだけでなく、血まで取るというのは本当に酷だと思う。

 2027年にシミュレーション通りの結果になれば、「お金を払ってでも若くて新鮮な地を確保したい需要」が出てくる気がする。

 こうなった時に社会は、善意で血が集まらないなら、お金と血液を交換するビジネスが出てくることも許容するんじゃないだろうか、と予想している。

 これは若者の働き口が増える一方で、人身売買ビジネスへ発展しかねないので危険だなぁと思った。

健康の価値がますます上がる

 病院に行っても血液不足でまともな治療が受けられない可能性がある。さらに、若く健康であれば、その体の血液に希少価値が出てくる。

 こうなれば、病院に行かなくていいメリットと、自分の体一つで富を生み出せるメリットが発生する可能性が出てくる。

 もはや「金を稼ぐために健康を損なっても働く」なんてことはあり得ない選択になると思う。

 まぁ筆者はもともと、健康の方がお金より価値があるものだとは思っていたが、このことは今後広く意識されていくことになるだろう。

「2039年に火葬場が不足する」

焼き待ちの死体がたくさんある状態ができる

 死亡者数の増大で懸念されるのが斎場や火葬場の不足だ。深刻化しそうなのが東京圏(東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県)である。場所や時間帯によっては、すでに1週間や10日間程度待たされるケースが生じている。

 火葬場のキャパに対して、死者の数が増えるのが2039年から起きることらしい。

 すでに火葬までに1週間から10日がかかることがあるらしいので、これがさらに延びると、焼き待ちの死体がたくさんある状態になる。

火葬できることが価値になれば検体を確保できる

 「もし焼き待ちが嫌だったら、検体に出せば優先的に火葬してあげる!」

 こんなふうに火葬できること自体が価値になれば、火葬のためにお金などのリソースがこれまで以上に流れることになる。

 これはこれで新たなビジネスの予感がする。

葬式や墓、遺骨のビジネスは拡大しそう

 死者が増えると言うことは、火葬だけでなく、葬式、墓、遺骨関連のビジネスも活発になると予想できる。

 都市部以外の人口が少ない地域は土地が余っているので、火葬場も建てられるし、葬式場も墓も、遺骨保管もできる。

 きっと、「死してなおも謎の土着性にこだわる価値観」を転換して、死んだら人口の少ない地方でなんとかするのが一般的になりそう。

「2042年に高齢者人口がピークを迎える」

その後も65歳以上人口は増加傾向が続き、令和24(2042)年に3,935万人でピークを迎え、その後は減少に転じると推計されている。

高齢者人口のピークは若年層の負担のピークを意味する

 社会保険料等々、高齢者にかかるお金は多い。

 お金は現役世代から取るしかないので、働いている世代は2042年に向けて負担が右肩上がりで増えていく。

 筆者は残念ながら、2042年時点で51歳なので、Xイヤーまでに「きっと増額される介護保険料」も払うことになる。

 

 もちろん、社会の高齢者を支えるために人生のリソースをたくさん使うことは嫌なので、これを避けるあらゆる努力をしていく所存ではある。

高齢者貧困街が広がる

 お金と人間関係などという「資産」を持たない高齢者が自力で住まいを確保できる場所は限られる。

 そういう人が集まって済む場所が高齢者貧困街である。

 既にこう言う場所はあると思うが、高齢者人口がピークに向かうにつれて、こう言う場所が増えてくると思う。

 もし土地を持っている場合には、こういう場所の付近だと、「近所で人死が多い」などの悪いイメージがついてしまう可能性があるので、土地周辺への警戒は怠らない方がいいだろう。

 一方で、自分がこういう存在にならないようにするためには、引き続きお金を増やしておくのと、人間関係という「資産」を拡大させていくことを忘れてはならない。

 昔馴染みの友達もいいが、同年代の友達しかいない人は、ある時期を境に一気に孤立する。

 今からいろんな世代の友達をできるだけたくさん作っておくといいと思う。

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